のぬふ

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2007-03-28

[]「信長 あるいは戴冠せるアンドロギュヌス宇月原晴明

これはまたすごい織田信長を書いたもんだ。本筋として織田信長がもしも両性具有だったらという感じの話なのだけど、それだけにとどまらない。信長ふたなり説というだけでもかなり刺激的ではあるのだけど。まず信長がどうしてあのような行動を取ったのかという点について全てにおいて新たな解釈を加えている。そこに付随する感じで、古代ローマやらキリストやら神話などを絡めた解釈を提示して、つながっていくのはナチスドイツというもうなんといいますかとにかくスケールがでかい。

そして宇月原晴明という人は自由だな…というか、自由に書く方法を知っている感じがものすごくした。この歴史イベントはこういう見せ方で書けば自分の解釈というかデタラメの信憑性が増すということに最大限の効果を発揮することが出来るというのが解って書いている感じが。頭いいんだろうけど、それが頭のよくない方向に発露しているような。上手くいえないけど。

あらすじは…ううん…一口では言えないですが、俺が知っている物語の世界の概念的に一番近いのはベルセルクかなあ。神やら悪魔やら観念やら理想やら。なんとなく想起させるものがあった。現在と過去の二部構成になっているのだけど、それによって解りやすくなっている部分もあるのだけど、読みにくくなっている感じは否めないような気も。

というのも信長パートが非常に面白いというのがあるからそういうことになるわけで、物語としては二部構成でないとたぶん成り立たないのだけども、物語における現代に来ると妙なフラストレーションが溜まっていくのを感じる。それはそれで面白いんだけど、あなたの伝奇的文章を読みたい俺はもっとと思ってしまうわけです。

とくにこの作家の戦闘描写というのは、今まで俺が頭の中に抱いていた戦国時代の合戦イメージそのものをひっくり返すくらいの上手さと合理性があった。派手さはないんだけど現実感だけがものすごくある。物語全体ではなんだか非常に幻想的な感じなんだけども、その戦闘の現実感だけが浮いているというか、際立っている感じがして非常に興味深いものがあった。ともかく面白かったです一読した印象では。もっと読み込むとまた違った感想が出てくるかもしれない。

信長―あるいは戴冠せるアンドロギュヌス (新潮文庫)

信長―あるいは戴冠せるアンドロギュヌス (新潮文庫)

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