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なんというかものすごくもったいないなあ…という感じのお話でありました。米村圭伍風見藩三部作の終わりではありますが、風見藩は全然関係ないし将棋の話も出てこないし、主要な登場人物は出ているのだけどもまるっきりキャラが違うのでなんともいえず。なんだかもったいない。
あらすじはヨーヨー使いのくノ一であるお仙が歳を取って美人になってしまって忍びなのに有名になってしまっちゃ困る…ってところに、もう一人の美女が現れたのだけども、なんだかそこな二人には妙な因縁がありそうな感じであって、そんでもって徳川家秘蔵の刀が関わってくるというようなそんな話。
これは米村圭伍的な伝奇へのアプローチだったんだろうなとは思うのだけども、なにもこの面白いシリーズでやらなくってもいいじゃないかと思うわけです。この小説単体としては何が何だかさっぱりわけがわからないし、無茶苦茶やるだけやれば伝奇小説になると思ったら大間違いであり、山風やら荒山徹のすごさを思い知らされた感じであったのですが、ともかく見るべき点が全くないわけじゃないのだけど、それにしても落胆の度合いは大きい。
伝奇の突拍子もないギミックだけではなく、歴史そのものに独自の解釈を加えていく隆慶一郎的な展開もあったのだけど、いささか無理がなあ。いやこちらとしてはシリーズの前二作の面白味を期待して読んでいるところもあるのでせめて地の文だけでも元のままでやっていただきたかった。ただまあ文章だけは非常に読みやすかったです。これの最大の失敗はシリーズの中に入れてしまったことですよねえ。めだか姫シリーズの方が本編にふさわしい感じがする。とりあえず今のところこの人の小説では風流冷飯伝が一番面白い。