のぬふ

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2005-10-26

[]「バガボンド 1~21」 井上雄彦

ソエの所まではモーニングで読んでたんですけど、なんとなくモーニング読まなくなってからは全然読んでなかったので、改めて読んでみたら面白かった。正直言って序盤はあんまり好きじゃないというか、宮本武蔵絡みの話は馴染めなかったですけど、佐々木小次郎編が結構よかった。なんでまた耳の聞こえない設定にしようと思ったのかはよく解りませんけど、巌流島で物干し竿の鞘ぶん投げて、遅刻してきた宮本武蔵に櫂を削った木剣でぶん殴られて死ぬくらいのイメージしか持ってなかった俺としては、新鮮というかかなり面白味のあるキャラになっていて良かったです。

生い立ちでの鐘捲自斎や伊藤一刀斎といった小汚いオッサン達のキャラの立ち方も素晴らしいですけども、なにより小次郎自身が面白すぎる。喋れないからといって思考しないわけじゃないのに、一言たりとも言葉を発しない。思考の漏れすらない。何考えてんのかさっぱり解らない。小次郎は小次郎として存在するだけでもう一人の主人公となりえているわけで、こういう形で成立してる漫画というのは珍しいんじゃなかろうか。

人間味あふれる武蔵に対して、なるべく人間味を排した純粋戦闘人間として描こうという意図も少々感じるのだけど、周りの人間にくどいほど自分と小次郎について語らせることによって小次郎のキャラが形作られているというか、しっくり来る表現が見当たらないのですけど、とにかく小次郎がいいです。常人じゃないというか、武蔵がうだうだやってる所をすっ飛ばして闘いに喜びを感じている様が心地よくもあり気味悪くもある。

んで、俺は吉川英治の原作をほとんど覚えてないくらい半端に読んでいたんですけど、小次郎にしてもそうだけどかなりオリジナルの部分がかなり多いですよねこの漫画。それが悪いわけじゃないし大筋では大体合ってるんだろうけど、宝蔵院絡みの話があまりにも違っていて驚いたというか、武蔵パートではやっぱどこかスラムダンク的なものを感じるというか、面白いんだけど剣豪漫画としてみるとなんかこう、もぞもぞしたものを感じてしまう。絵は上手いし迫力もあるしユーモアもあるし面白いんだけどなんか違う。なんというか洗練されすぎている感じというか…。普通に考えたらいいことなんでしょうけど。

とりあえず最新刊で久々に武蔵編に戻って立ち合いのシーンがあるんですけど、ああ、やっぱ俺この武蔵あんまり好きじゃねえわ…と思ってしまったので、なんか合わないところがあるのだろうと思う。漫画としては面白いんですけども。なんでだろ。元々宮本武蔵にそれほど思い入れはないのだけど。しかし又八のヘタレ具合はちょっと気持ちがよい。あと井上雄彦さんは悪役が描けない人なのではないかという思いを抱いた。スラムダンクにしてもこれにしても純粋に悪い人というのが出てこない。天才はよく出てくるけど。

バガボンド(21)(モーニングKC)

バガボンド(21)(モーニングKC)

[]読みたい読みたくない

最近は主に時代小説というか、山田風太郎先生および隆慶一郎先生の本しか読んでない感じがするんですけど、基本的にこう、気に入った作家さんの本は出来るだけ全部読まないと気が済まないタイプである自分としては故人の本は有限であるので寂しくなったりするんですけども、なんというか時代小説ではこの二人以外のものを今のところあまり読む気にもならず、読んだら面白いんだろうな…という作家さんはたくさんおられるものの、なぜか手を出せないでいる。戸部新十郎さんとか五味康祐さんとかその辺に興味はあるものの、安易に手を出したら収拾がつかなくなりそうな気がするのでどうにも手が出ない。

時代物に限らずとも、いわゆるライトノベル界隈にも興味はあるものの手が出せない。読んでみて面白くてもつまらなくてもなんか嫌だという感じがする。自分で書いててわけ解らんけどもなんとなくそういう気持ちになる。なんとなくどんなリアクションを取っていいのか解らない自分というのが容易に想像できるので読まないが、いずれ読むこともあるかもしれない。というか滝本竜彦さんとか乙一さんは読んでいるので読めるのかもしれないですけどそこから先に手が出ない。

そういう理由もなしになんとなくただ読まない作家もいて、それは森博嗣さんであったり東野圭吾さんであったり貫井徳郎さんだったりして、まだ他にもたくさんいるんですけど、今名前を出したお三方に関しては、本屋で何度も手にとって読んでみようというところまではいくのにどうしても購入にまでは至らず、自分でも全く理由がわからないのでこのまま「読んだら面白そうだけど一生読まないであろうカテゴリ」に入りっぱなしなのだろうきっと。なんか読んでしまったら自分の大事なものが失われそうな気がする。そんなことはないと思うし、実際よく解らんけど。

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